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甘く、苦く

第16章 磁石【ウソつき】


「ん…?」

誰かに揺さぶられる感覚がして
目が覚めた。


「あ、ニノ、起きたんだ。」


そこには、翔さんがいた。



「そんなに、怖がんなよ。」

すっと手が近付いてきて、反射的に避けてしまった。


「や、やだ…」


俺が、声を絞り出すように言うと、一気に目が冷たくなって
また、乱暴に抱かれた。


「あ、やっ、翔さっ、」
「俺のモノに、なれよっ!」


ガンガンと奥を突かれる度、頭が真っ白になっていく。


「あ、しょぉさっ、だめっ…」
「だめじゃ、ないだろっ、」




あぁ、もう、翔さんのモノになるしかないのかな…?

働かない体で考える。

快楽か、本当の気持ちか…


どちらをとればいいんだろう…


「あっ、も、イくっ…」
「イケよっ!」


思いっきり腰を打ち付けられて、
わたしは、白濁を出した。


「ニノ…愛してる…」
「あっ、あっ…」


わたしは…愛してない…


なんで、壊れたんだろう…

平凡で充実した日常がガラガラと崩れ落ちていく。


「くっ、イく…」
「あっ……」



わたしはまた意識を手放した。





「ニノ、大丈夫かな?」

リーダーの声が聞こえる。

「大丈夫だよ。疲れたんだよ。」

翔さんの笑いを含んだ声が聞こえる。

そんなことない…
助けてって言えば、助けてくれるのに……

「ニノ、寝かせておこっか。」
「そうだね、相葉くん。」

みんなの足音が遠ざかっていく。



「ばいばい…相葉さん…」



わたしは、愛しい人の名前を呼んだ。

もう、振り向いてもらえないんだ…



わたしは、一生、翔さんから逃げられない…

鍵のない鳥籠の中に一人、わたしを出してくれる人は…いない…





翔さん、わたしは今日からあなたのモノになります…





ー終わりー


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