
甘く、苦く
第51章 櫻葉【ふたりの休日】
「…腰、いてぇ……」
翔ちゃんが深いため息をつく。
「……雅紀、夜は覚悟してろよ…。」
「えっ……」
「当たり前だろ?」
翔ちゃんがいつもと違う
味わうようなキスじゃなくて、
噛み付くようなキスをしてきた。
……味わうようなキスより、
ちょっと乱暴な翔ちゃんのキスの方が
俺は大好き。
「…翔ちゃん、この割引券…。」
いつの日かニノから貰った
水族館の割引券。
期限は今日まで。
「あー、今日までかぁ。
…行く?」
「うんっ♪」
「おし、じゃあ準備しよっか。」
決めたらすぐに動く。
それが翔ちゃんのイイトコロ。
水族館はくらいからあんまり
変装しなくても良いかなぁ…?
……あ。
この割引券、ニノから貰ったなんて
言ったら翔ちゃんどんな顔するんだろ。
だってね、この前ニノの受賞お祝いで
ニノん家まで行っておめでとって言って
一緒にお酒飲んだら……。
翔ちゃんと喧嘩したもん。
翔ちゃんはみんなで飲んでおめでとうって
言ったからいいじゃん?ってゆーけど……
俺としては親友的存在のニノが
受賞したんなら
二人でじっくり飲み明かしたいもん。
…割引券のことは
黙っておこうかな……。
「翔ちゃん、準備できた?」
「あー、待って待って。」
……あんなにばかでかいリュックに
何を詰めてるんだろう……。
そんなこと思ってたら、
くすっと笑みが溢れた。
