甘く、苦く
第58章 末ズ【one step】
♡57章のオマケ♡
蒸し暑い職員室。
俺は今、そこにいる。
「相葉ぁー!」
「なんだよう…」
なんだじゃないぞって先生が俺に突き付けてきたのはこの前のテストの結果表のプリントアウトしたヤツ。
「なんだじゃないぞ…この点数を見ろ!」
「…いつものことですけど?」
「あのなぁ…俺も副担だから言わせてもらうけど、受験生って自覚、お前は持ったらどうだ?」
「…自覚……?」
『好きなことで生きていく。』
どっかにそんなのがあった。
あぁ、なんだっけ。某動画サイトのCMだ。
…そうだよ。
好きなことで生きていくのが一番じゃない?
大人は何もわかっちゃいないんだ。
諦めろ諦めろってそればっかり。
「せんせーにはわかんないでしょ。
俺の気持ちなんて。」
「あぁ、わからねえ。」
ちょっとイラついたから、テストの結果表をぐしゃぐしゃにして近くのゴミ箱に投げ捨てた。
「あっおい!相葉!」
「俺、バスケの最後の大会があるんです。
勉強なんか、その次ですよ。
そりゃ、文武両道って言葉もあるけど…
そんなにいい頭を持って生まれてきてないんですよ。
…好きなことをするのは、悪いことなんですか?
ねぇ、松本先生。」
答えてくださいよ、って言おうとしたその時、
「…ふざけるな。」
って、初めて見た先生の怒った顔。
「…ふざけてなんかないですよ。」
ここで言い返さなかったら負けを認めてるようで。
……いいんだ、これで。
反発して推薦が取り消しになったって、もういいんだ。
バスケさえ、できれば…
……俺なんか、いいんだ。
社会の底辺なんだろ。
そう言いたいんだろ。
「…相葉…」
悲しそうな先生の表情。
…初めて見たかもしれない。
「なんですか。」
「お前の事情はよく知ってる。
無理して勉強しろなんて言わない。気の毒だったな。」
…そう。
繁盛していたのに。
いや、
繁盛していたから。
父さんが倒れて、母さんも心をやられて…
店の手伝いなんかしないで、遊んでて、バスケやってて…
弟はまだ小学生。
…俺って、サイテーなヤツ。
…本当、バカ。
「なぁ、相「もういいです」
「部活あるんで」
そう言い放ち、扉を閉めた。
…俺の大好きな人への気持ちにも、鍵をかけて、心の奥にしまい込んだ。
end
蒸し暑い職員室。
俺は今、そこにいる。
「相葉ぁー!」
「なんだよう…」
なんだじゃないぞって先生が俺に突き付けてきたのはこの前のテストの結果表のプリントアウトしたヤツ。
「なんだじゃないぞ…この点数を見ろ!」
「…いつものことですけど?」
「あのなぁ…俺も副担だから言わせてもらうけど、受験生って自覚、お前は持ったらどうだ?」
「…自覚……?」
『好きなことで生きていく。』
どっかにそんなのがあった。
あぁ、なんだっけ。某動画サイトのCMだ。
…そうだよ。
好きなことで生きていくのが一番じゃない?
大人は何もわかっちゃいないんだ。
諦めろ諦めろってそればっかり。
「せんせーにはわかんないでしょ。
俺の気持ちなんて。」
「あぁ、わからねえ。」
ちょっとイラついたから、テストの結果表をぐしゃぐしゃにして近くのゴミ箱に投げ捨てた。
「あっおい!相葉!」
「俺、バスケの最後の大会があるんです。
勉強なんか、その次ですよ。
そりゃ、文武両道って言葉もあるけど…
そんなにいい頭を持って生まれてきてないんですよ。
…好きなことをするのは、悪いことなんですか?
ねぇ、松本先生。」
答えてくださいよ、って言おうとしたその時、
「…ふざけるな。」
って、初めて見た先生の怒った顔。
「…ふざけてなんかないですよ。」
ここで言い返さなかったら負けを認めてるようで。
……いいんだ、これで。
反発して推薦が取り消しになったって、もういいんだ。
バスケさえ、できれば…
……俺なんか、いいんだ。
社会の底辺なんだろ。
そう言いたいんだろ。
「…相葉…」
悲しそうな先生の表情。
…初めて見たかもしれない。
「なんですか。」
「お前の事情はよく知ってる。
無理して勉強しろなんて言わない。気の毒だったな。」
…そう。
繁盛していたのに。
いや、
繁盛していたから。
父さんが倒れて、母さんも心をやられて…
店の手伝いなんかしないで、遊んでて、バスケやってて…
弟はまだ小学生。
…俺って、サイテーなヤツ。
…本当、バカ。
「なぁ、相「もういいです」
「部活あるんで」
そう言い放ち、扉を閉めた。
…俺の大好きな人への気持ちにも、鍵をかけて、心の奥にしまい込んだ。
end