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お寺の鐘~嵐音season2~

第10章 大切な人

やだ。俺を独りにしないで……


智「お願いだよ……目ぇ覚ましてよ。」


何度も何度も呼んだ。

でも、俺の愛しい人は目を覚まさない。


智「ニノ……お願い。起きて」


起きてさいつもみたいに呼んでよ。

そしてさぶきっちょな笑顔を俺に向けてよ。

独りで何て生きてけない。

……目ぇ覚ましてっ。


智「ニノ!! いっちゃだめ!
オイラを独りにしないで……」

嫌だ。ニノのいない世界なんて生きる価値がない。

智「ダメっ……死ぬな!……いくなぁあ!!」









ピー…………








病室には1人の男の終わりを告げる電子音と
その男を愛し続けた男の泣き叫ぶ声が響いていた。



ーーーーーーーーー




智「は!……ゆ、夢か…」


夢でよかった。

隣にはすやすやと眠る俺の愛しい人がいた。


智「ニノ。ニノが逝く時はオイラも逝くからね」

和「ん、……」

智「愛してるよ。」











~THE END~

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