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お寺の鐘~嵐音season2~

第24章 君に伝えて言いかな

『ぴんろんっ♪』

今日もいつもの様にあのトークアプリの通知音がなる。

《花火大会なう》

あいつは呑気にそんなメッセージを送ってくる。

もうかれこれ2年になる。
あいつに惚れて。
男のあいつに惚れるのはおかしい。
でも...止められなかった。だから1番の親友として今はそばにいる。

《お誘いないけど?》

《誘って欲しかった?》

こいつはほんとに返しにくいことを言ってくる。
ならやり返してやる。

《うっさいばーか。大事な話あるから早く帰ってきてよ》

《大事な話?》

最後のメッセージには答えてやらない。
代わりに電話で言ってやる。

「もしもし雅紀?」

「え?和?どーしたの?」

「...もう2年もお前のことが好きなの
返事はいらないから...それだけじゃあ」

そう言って電話を切った。

どうだ雅紀1番の親友を失った感想は。

やり返してやったのに涙が止まらなかった。
もうそばに居れないと思うと。

「っく...ふぅっ」

「和!!」

「...え?なんでいんのよ」

花火大会いってたんじゃないの...


「ばか!あんな電話するから急いで帰って来たんだよ!」

「ゆ、ゆっくりしてくれば良かったじゃん...」

「うるさい!一方的に切りやがって!
俺の返事をきけ!」

「やだ。聞きたくない。」

「好きだ!和!俺も好きだ!」

「え?...」

その時空に花火が上がった。

「は、花火...」

「ほんとは和と行きたかったから。潤に頼んで市販の打ち上げ花火上げてもらったの」

「雅紀...」

「和。これからは恋人として側にいて」


今年の夏はいつもより熱かった。

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