煩悩ラプソディ
第13章 オキテ破りのシェアハウス/all
心の中で呟いた言葉は、思いのほか自分の中にすとんと落ちてきて。
…あぁ、そういうことだったのか。
この状況下では言いにくいけど、
俺はこの中で誰かなんて、選べない。
選んじゃいけない。
潤「…無理だよ。そんなの、選べない」
なんとなくみんなの顔を見れなくて、潤は俯いてポツリ答える。
和「…やっぱりね」
雅「うん、やっぱり。ね?」
智「だね」
翔「…じゃあ、アレだな?」
潤の頭の上で、四人は目配せしながら頷いている。
当の潤は何のことだか分からず、ただその様子を見ているしかなかった。
翔が口を開く。
翔「潤…お前は優しいから、誰か一人なんて決められないって思ってた。だから、俺たちみんなで潤のこと愛したいんだ」
潤を見つめながら、驚くほど優しい眼差しでそう紡いだ。