例えばこんな日常
第34章 FLAVOR GALLERY vol.4
"ねぇ、今日も教えてもらっていい?"
キラキラした眼差しでそう訊ねてくる顔はまさに興味の塊って感じで。
歳の近い兄弟、しかも野郎同士ときたらフツーは反抗期真っ只中のはず。
なのに、うちの弟の潤は反抗期どころか兄の俺にべったり。
しかもひょんなことから俺はコイツの"センセー"になっちまった。
真夜中の俺の部屋。
計ったように現れた潤は当たり前に俺のベッドの上へ。
「ねぇ今日の授業はなに?」
はにかみながら大きな瞳をくるりと輝かせる潤に、俺は完全に手の平で転がされてるんだ。
「じゃあまずは昨日の復習からな」
そう告げてゆっくりと顔を傾ければ察したように目を閉じて。
「んっ…」
合わさった唇から漏れる小さな吐息にたちまち下半身が疼きだす。
「はっ…ン、はぁ…」
くちゅくちゅと水音が鼓膜を痺れさせ。
「しょうにぃ…」
「っ…」
合間に届いた切ない掠れ声に一気に煽られたのが自分でも分かった。
こんな関係いけないって分かってるのに。
潤の好奇心に付き合ってあげてるだけだったのに。
「なぁ潤、今日は新しいこと教えてあげる」
「んっ…新しいこと?なに?」
いつの間にか俺の方がのめり込んじまった。
「…すっげーキモチイイことだよ」
「え?キスよりも?」
「ん…そんなの比べモンになんねぇよ」
そう耳元に囁くとぱぁっと瞳を輝かせて頬を緩ませる。
そんな、なんの穢れもない純真無垢なこの笑顔を。
俺がイチからヨゴしていくんだ。
「えっ、こんなとこ触るの?」
「そうだよ?こうやってな…」
「ンっ…!」
下着の中で小さく震える潤のに触れるとびくんと体が跳ねて。
とろりと先端から滲む液を指に感じ、背筋にゾクゾクと電気が走る。
「しょうにぃ、なんかこれ…」
「うん?怖いか?潤」
「ンっ、はぁっ…」
きゅっと瞑った瞼は好奇心に揺れる輝きを隠して。
次にゆっくりと開けた時には、欲情の絵の具を一滴垂らしたような熱い眼差しが俺を見据えた。
「…キモチイイことしか教えないよ?俺は」
「うん…しょうにぃのこと信じる…」
「…ふは、カワイイこと言ってんなよ」
心配すんなよ、潤。
お前の望む通りに。
これからもっともっと俺の色に染めてやるから。
end