秘密中毒
第5章 再会
あたしは耳を疑っていた。
医師があたしの中に指を入れたまま
昔のあだ名で意地悪を言ったのを、聞いたような気がするんだけど。
「うそ………」
驚きでうまく喋れない。
「うそだ………山田くん……なの?」
「俺はすぐあやとりだってわかったんだけどな」
あたしの旧姓は鳥井。中学と高校では「とりい あや」をひっくり返してあやとりって呼ばれてた。
「ご、ごめ…だって背が全然っ!顔も声も…」
似てると思ったけど、ずっと大人になってて。
あたしの知ってる高校生の山田くんは、背が160ちょっとで、顔も声も可愛い感じで。
よくあたしに意地悪なことを言ってきて。
「背は大学で伸びた。…で、終わったからそろそろココ、緩めてくれないか?」
「あっっ!?」
あたしの中で存在を忘れられていた指がくいっと動くと。
さっきまでの快感と一緒に、ものすごい恥ずかしさが襲ってきて。
「きゃ―――――!!!」
その瞬間、あたしは山田くんだと自称するイケメン医師を蹴り飛ばしていた。