秘密中毒
第6章 発覚
次の日は金曜日の夜。
あたしは事務長の送別会に来ている。
60歳の事務長が「まだまだ元気だから農業と自治会でバリバリやります」と挨拶した後は、砕けた感じの飲み会になってた。
「アヤさ~ん♪」
桜があたしの隣にやってきた。
「ビール飲んじゃって、体調大丈夫ですかぁ?」
「完全復活じゃないけど、普通に飲めるくらいには元気だよ。」
実はまだ喉の痛みが取れない。
でもあたし、今日は飲みたい気分。
いくら飲んでも顔色が変わらないから、よく「ザル」って言われる。
そんなあたしでも、酔えば少しは楽しくなるんだもん。
桜はすでに頬を赤く染めて、目も潤んでいる。
「酔うとカワイイね、桜ちゃん」
あたし、カワイイ女の子を見るの好きだな。
桜もあの看護師の杉本さんも、とてもカワイイ。
「あーっ!酔ってないときは可愛くないってことですか~~!?」
「あー、はいはい。いつもカワイイよ」
「アヤさん、酔っ払いだと思って適当すぎだよぉ!」
「あははは」
桜が急に顔を寄せてきて言う。
「でも、ホントアヤさん最近おかしいよ?悩んでたら言ってね?」
「桜ちゃん……ありがと…」
あたしは思わず桜を抱きしめてた。
「アヤさ~~~ん♪」
桜は甘えた声を出して抱きしめ返してくる。
こんなことしてるあたしも十分酔っ払いだな。
…………
「そこ!なに女同士でいちゃついてるんすか!」
葛西くんが桜をひっぺがして、あたしの横に陣取った。
「あ、ホントに来た~。」
あたしのお気に入りの年下社員。
「ちょっとぉ葛西!あっちの隣も空いてるでしょおが~!!」
桜がふくれっ面で抗議する。
ふふ………久しぶりのお酒の席、楽しいな。
結婚しただけで飲み会の誘いは激減した。
あの人は相変わらず飲みに行くのに。
だからあたしは、久々の雑多な雰囲気に酔っていたんだ。
…………
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