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片思い

第2章 中学生

ついに卒業式当日を迎えた。

友達との別れ、先生方との別れ、ちょっとだけ感傷的になる。


式も終わり写真撮影や先生方との別れの挨拶も済ませ、ふと顔を上げると後輩君が教室の窓から手を振ってくれていた。


少し淋しそうな、そんな笑顔で…

私も手を振り返す。ぎこちない笑顔で…

そしてくるりと背を向け歩き始めた。





帰り支度をし周りを見回す。彼の姿はなかった。もう帰ってしまったのかもしれない。


大きなため息がでる。


とぼとぼと歩いていると背後から声が聞こえた。


「3年間楽しかったな。」
ドキドキしながら振り返ると彼だった。


「そうだね、楽しかったね。」

「高校…行っても元気に頑張れよ。」

「うん、そっちもね。」

「じゃあ。」


そう言って何かを私の手に押し付け走って行ってしまった。

残された私の手の中には学生服のボタンがあった。

涙が溢れてくる。

溢れる涙をぬぐうこともせず、私は自宅に向かって歩き始めた。



結局、思いを伝えることはできなかった。

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