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素晴らしき世界

第30章 僕らの48日間

一緒に住もうと決めてから、
仕事の合間を縫って場所探しを始めた。


もちろん俺が主導……

いや、俺が1人で頑張った。


和は興味なしといった感じ。

そのくせ俺の持ってきた物件に
あーでもないこーでもないと文句をつける。


まぁ、そこは予想通り。


けど和はさらに上をいった。


『じゃあ、どこがいいの?』って
意見を求めたらまさかの場所を指名。



それは和が住んでいるマンション。



ちょうど上の階に空きが出たらしい。

『たまたま』なんて言ってるけど、
その情報……自ら入手したに違いない。

そして空き部屋になるまでずっと
俺の提示した物件を拒否した。


面倒くさがりの和が考えそうな事。


でもここで『嫌だ』の
『い』の字でも言おうものなら
機嫌を損ねかねない。

一緒に暮らさないなんて言われたら
困るのは俺。


ってか、完全に主導権握られてるし……


それでも怒る気にならないのは
和なりに一緒に住む事を
考えてたって実感できたから。


部屋が空くのは4月から。


季節は春。

新たなスタートを切るにはピッタリ。


なのに……

なんて言っちゃだめだけど、
和の主演ドラマが決まった。


『よろしくね』って嬉しそうに笑い、
引っ越し作業はすべて俺にのしかかった。


けど、致し方ない。


役どころは天才外科医。


普段使わない用語が羅列するセリフに
俺もかなり苦戦した経験がある。

それに合わせて撮影前から手術の見学や、
医療監修の方からの手術作法の指導。

そこから『天才』という要素、
そして今までに演じた事のない
ブラックな部分をプラスしなければいけない。

毎回、どんな役でも難なくこなすが
裏での努力は凄まじい。


特に今回は大変だと思う。


それに加えて嵐初のドラマリレー。


前々クールからずっと視聴率は好調。

そして否が応でも
高視聴率を叩き出している
松潤と数字の面で比べられる。


和へのプレッシャーは大きいに違いない。

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