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カミカゼ短編集

第1章 「翔くん。絵、見に来る?」     …O×S

脱力した俺の腹をタオルで拭いて

「フフッ」

ご機嫌な含み笑いをした智くんが
汗ばんだ体のまま寄り添ってくる


「燃えたね」

「んははっ、もう…言い方ヤラしいな」

「ヤラしい事シたからね」

俺より少し小柄な体には
さっきまでの獣の激しさはない

まるで女の子みたいに
俺の肩にピトッとくっついてくる


こういう時、いつも困るんだ

肩を抱き寄せていいかどうか…

結果、俺の左手はベッドに張り付いたまま動かせないでいる


いつもは暫く黙って寄り添った後、
普通の他愛ない話をするのに

今日はいつもよりご機嫌なせいか

智くんが饒舌に話し出した


「今日さ~、めっちゃヤバかった。
翔くん締めすぎだし」

「なっ…、そんなつもりねーし」

「そうなの?そっか、久々だから?」

「えぇ?…知らねー…」

「ははっ、照れてる。…やっぱ天才かぁ…」

「何?その“天才”って」

そう言えば、さっきも聞いた気がする

さっぱり意味がわかんなかったけど


「意味?フフッ…、いろいろ」

「いろいろって何ですか、兄さん」

「ん~、例えば…俺を骨抜きにする天才」

「骨…、はあ!?」

何を言ってんだ!?

突然の事に頭がフリーズする


「あとね~、ツンデレの天才」

「ツ…!?…誰がっ」

「翔くん。超ツンデレじゃん」

「いつ!誰が!?どんな風に!」

生まれてこの方ツンデレなんて

した事も言われた事も無いわ!!


「え~、ツンデレじゃん。『好き』って言ってくんないし」

「そ…!」

それはアンタだろ!

そう言ってやりたいのに、余りの展開に言葉が上手く出てこない

「誘えばついてくるのに誘ってくんないし」

俺が固まってる間に
智くんはポンポンとんでもない言葉を並べる

「ヤラしー体だし。俺と翔くんってさ、体の相性いいよね」

相性いい、って…

それは俺も思ってたけども!


「待て!」

ちょっと整理させてくれ

どうにも頭がついていかない…



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