テキストサイズ

アスタリスク【ARS.O】

第8章 オジサンの正体【アキ】

その日バイトから帰ると、オジサンから電話がかかってきた。

『おぅ、元気になったか?』

「……。」

私は言葉が出なかった。

『今度さ、仲間と飯食うんだけど、来いよ。』

「仲間って、嵐…?」

オジサンが電話の向こうで息を詰まらせたのがわかった。

『知ってたのか…。』

「さっき知ったよ。バイト仲間が熱心なファンでね。」

『そうか…。』

オジサンは黙り込んだ。

「何のつもりだったの。今流行りの金持ちの慈善事業のつもり?」

『な、何だよ…!』

一度堰を切った言葉は、止めることができなかった。

「貧乏人が珍しくて、親切にして満足してたの?それとも心の中で笑ってたの?」

『俺はそんなつもりじゃ…!』

「コンビニの前ででしょぼくれてて可哀想に思って拾ってみたら、とんだ猫かぶりだったって訳ね。」

『アキ…。』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ