テキストサイズ

☆ラリマーの扉☆

第8章 理想郷の扉~青空の下、契約を結ぶ

シノは都会に行きたい気持ちを握りしめながら、眠りについた。

どこでもいいの、導いてくれるならば。

        *

チュンチュン、小鳥が鳴く朝。

シノは目をぱちりとあけた。

「いつもの朝ね…」

都会に導かれることなんてないんだわ。

………

山のふもとだからといっても不便なことはない。

冷蔵庫だってあるし
ネットがつながるし、まさに現代生活。

だけどもう…

この風景ですら嫌なの。

見ることでさえも……

落ちてしまいたいわ……崩れて。

「はぁ……」

目をつむって、ため息をつく。

また再び美しいまぶたが開かれる。

「あら……?」

テーブルのうえに鍵が置いてあった。

金色に輝く、ツヤが入った鍵───…

天使の羽が刻まれている、可愛らしい鍵。

「こんなんどこに……」

シノは、鍵を握りしめた。

「祈りなさい、シノ…」

女神らしき、声が聞こえた。

「えっ…?」

「貴女を導くのです、祈りなさい」

シノは、あわてて、祈った。

……何が起きるんだろう?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ