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プリンス×プリンセス

第5章 薔薇が好きだから

「姉上、おはよう!!」

次の日、姉上の部屋のドアを開けると、相変わらずの薔薇の香りが漂っていた。

「何だよ。聞いてないのかよ…」

よく見れば。

今までは毎日新しい花が生けてあった花瓶に、昨日と同じ花が生けてあった。

「テリオス、おはよう」

姉上の顔はにこやかで。

「あなたがディオチェスター様に進言してくれたんですって?」

「ああ。…せっかく咲かせた花をあんな使い方されたら我慢出来ないから」

「ありがとう、テリオス」

俺に礼を言いながら、薔薇の花を優しい目で見つめている。

「1日飾ったらすべて廃棄だなんて…私の為にしてくれた事なのに、まだ綺麗に咲いてる花が棄てられるのを見たら…苦しくて…」

「自分で育てたことのない人にとっては、そんなものなんだろうな」

花が咲くのが当たり前だと思っている。

金を出せば、いつでも手に入れる事が出来ると考えている人。

だから簡単に棄てたり出来るんだ。

薔薇から姉上に視線を動かすと

「あとさ、庭の一画を花壇にしていいって。ディオチェスター王子の許可をとった」

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