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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

何だよ。いい子じゃないか。

シエンタが擁護していた子と、目の前のグレイスが、やっとで一致したように思えた。

俺は笑顔でグレイスを見て、ディオに話しかけた。

「私は大丈夫ですから」

久し振りなんだろ?

せいぜい付き合ってやれよ。

ディオはふぅ…と大きく息を吐いた。

「済まない」

俺にそう言うと、グレイスの手を取った。

グレイスはディオに嬉しそうに微笑むと、俺を振り返り頭を下げた。

「では、また。後程」

「はい。後程」

簡単な言葉を掛け合って、俺から離れていった。

…ま、いいんじゃないか?

こんな時じゃなきゃ中々会えないんだろうし。

ディオ達が消えたホールへ視線をさ迷わせる。

奥の方へ行ってしまったのか、姿を確認する事が出来なかった。

ディオの事だ。

少し踊って、グレイスが満足したら早々においとまするつもりなんだろう?

だから、それまでの間…だ。

息をつき、椅子に座り直す…と、急に話しかけられた。

「よろしいですか?」

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