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プリンス×プリンセス

第54章 違和感

なーんか、おかしいんだよなぁ…

何が、って聞かれると、『これだ!!』って言えないんだ。

だけど…何か、おかしい。

俺の視線の先には、大きくなったお腹をつき出すように歩く姉上がいる。

少し歩いては立ち止まり、息をついて…の繰り返しで。

体が辛そうなのはすぐにでも想像つく。

なのに

「大丈夫よ」

なんて白々しいほどの言葉を並べるんだ。

そんなに無理をしなくてもいいのに。

何なら俺を頼ってくれたっていいのに、そんな素振りは一切見せない。

そうだよ。

体が辛いなら、公務なんて無理に出なくてもいいんだ。

なのに、姉上は休もうとしないで…

いや、むしろ公務を増やしてるんじゃないか?

どうしても姉上が出席しなくてはならないものなんか、実のところ無いに等しい。

形だけの視察や、社会貢献の高い団体の福祉フェスティバルの挨拶とか。

今までに行ったことの無いようなものまで…

何で、このタイミングで?

正直、首をかしげざるを得ない。

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