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プリンス×プリンセス

第58章 裏切りの証言

【主治医・アスコットの証言】

いやはや…何たる事やら…

私はね、坊っちゃん…あ、ディオチェスター様が生まれた頃から、研修医としてこちらに携わって来ました。

だからジューク殿の事もよく知っています。

彼はね、坊っちゃんをそれはそれは大切に思っていましたよ?

だからこそ…何故としか言いようがない。

は?子供?

あぁ…連れ去られた赤子…ですな。

生まれたときに異常に気付かなかったか?

異常、と言われましても…

生まれたばかりの赤ん坊は、まだ視力を持っていないものです。

1日の大半を寝て過ごしているので、瞼を開けているのも稀な程で。

例え瞼を開けていたとしても、うすぼんやりと見えているだけで…

見えていると認識が出来るようになるのはもっと後の話なのですよ?

いや、だから私は何も気付きませんでした。

そもそも私が顔を見たのは取り上げた時だけで…目は閉じられたままでしたし。

そうですね…。彼が何をもって異常だと思ったのかは謎ですな。

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