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プリンス×プリンセス

第71章 王女の悩み

それだけ。

グレイス王女はそう言うけど。

婚約者だと紹介された時のユーノスくんは、少なからず喜んでいたように見えたわ。

それに、今までの2人の関係性を見るには、『それだけ』で割り切れるものではないように思うのに。

「ティアナ様」

「はい?」

「私…ディオチェスター様と仲間だと思っていました」

「仲間?」

「ええ。個人よりも国を優先する者としての」

え?

突然の話の飛躍に付いていけず、何度か瞬きを繰り返す。

そんな私を見て、グレイス王女は目を細めた。

「ですので、あの婚約会見には裏切りを覚えました」

婚約会見…?

ディオの…よね?

「でも会見の最中のディオチェスター様の表情が」

あの会見のディオの横には、私の姿をしたテリオスがいて…

「最愛の方と共に人生を歩める喜びに満ちていて」

その時のディオの表情が、グレイス王女の言うような物なら…

「私の恨みは羨望に変わり…」

あの時からそうだった…という事なのかしら?

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