アイツまで徒歩5分
第11章 夢は高く!目標は低く?
「―――…よかった……
だから…気晴らしに…旅行か…」
陣ヶ岡さんは、手紙を見ながら……微笑んでいる―――…
さっき、お姉さんにしていた態度とは随分違うじゃないか?!
まさかの――――――…
“次郎さん”をお姉さんと取り合う……ダーク展開ですでに弟敗北スタート…とか?
「―――最知…お前、何考えてた?」
俺は、頭の中で始まった昼ドラ展開を慌てて完結させた!!
「―――…陣ヶ岡さん…惨敗です」
「はぁ?何…それ?」
陣ヶ岡さんは、笑いながらジッポライターを俺に見せた……
そこには―――――…
ブランドのマークが刻まれているのと一緒に…
日付が削り刻まれていた――…
20××・7・15
「この日付…
俺が刻んだんだ……
忘れないように…って…」
「―――――…陣ヶ岡…さん?俺……聞いて…いいの?」
陣ヶ岡さんは、優しく微笑んだ…
「黙ってても…俺の過去は…
消えないし…
最知…お前には隠しておきたくないんだ…」