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レモンスカッシュ

第4章 M/A


A side


次の日も、その次の日も


「1時間遅くていいから」


その一点張りで、しかも課題が出来なくても補習の理解が出来るようにって、プリントを作ってくれてた。


普通は、1時間は長く寝られる訳だからありがたいと思うはずだ。


…分かってくれてたのかな、先生は。
眠れてないってこと。


先生は優しい。

だけど…、眠りたくないんだ。また嫌な夢を見るから。

また苦しめられるから。


もう終わったと思ってても、夢でまで苦しめられるから。


今までは週4だったバイトを、週6に増やした。

何かをしていないと、また呑み込まれてしまいそうだった。

苦い記憶に。



「…いば、おい、相葉。」
「あ…っ、すいません!」
「疲れてんのか?クマがすげぇけど…。眠れてんのか?」


慌てて大丈夫だと返事をして謝った。


体は疲れて眠りを欲するけど、心はそれを拒絶してて。

ぐるぐる考えてるうちに夜が開けてる…そんな毎日。



「…あんまり、無理すんな。」


本当に小さい声だけど、先生の優しい言葉。


胸がキュンとした。


それだけが、今の俺にとっての唯一の救いだった気がする。



でも…、その夏休みにも終わりが来てしまうんだ。

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