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レモンスカッシュ

第4章 M/A

「それから、家も解約してきたから。」

いろいろ驚いて、声が出てない。


「だから、雅紀の荷物、ほとんどこっちに持ってきといた。
 ごめん、勝手に部屋入って。」

一気に言うと、

すごい戸惑った顔。

「…それって、どういう」

「俺と一緒に住んで。」
「…へ?」

鳩豆的な顔してる雅紀がちょっと面白くてクスッと笑うと。

「ちょっ、笑わないでよ!」

「ごめんごめん。」

「でも、バイト代無いと、」

「生活費は俺が出すから。」

「え…」

「ごめん。俺さ、心配でたまんないの。
 お前がこのまままた、あの生活続けて。
 あの料理屋でこき使われ続けて、また体壊すの…

 怖いんだよ。
 お前が、こっから居なくなるんじゃ無いかって。

 自分の貯金、お前一人養うくらいはあるし。
 学費はばぁちゃんに払ってもらってんだろ?

 だから、…お願い。

 俺と一緒に、居てください。」


「せんせっ…」

敬語はなくなっても、先生呼びは無くならないこいつとの、


また新たな、記念日になった。




「バイト先、知ってたの?先生。」

ひとしきり泣いて、落ち着いた後。雅紀がふとたずねてきた。

「あー、一回行ったからね。
 高校の時の友達と、あ、その中に俳優やってる奴が居て。」

「あーだからあんな高いところ…」

「確かに高いし、料理も美味しいのかもしれないけど、
 あんなんじゃダメだよね…」

「…どこ、見たんですか」

「終業式の後。俺から呼び出し受けて、間に合わなくって、怒られてたところ。
 用事あるなら言えよ?早く解放してやったのに。」

ま、でもそういうところが生真面目でいいんだろうけど、言うと。

ちょっと照れくさそうに笑った。


窓の外は夕焼けが広がっている。


明日は晴れんのかな…。


「先生、ごめんね…」

「え?」

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