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ずっと隣で笑っていて

第28章 第二十八話


病室は最上階の一番奥の突き当たり


事務所の配慮で誰の目にも触れない場所にあった


ドアを開けて目に飛び込んできたのは


点滴の管に無数に繋がれ頭の包帯が痛々しい翔ちゃんの姿


「私は席を外しますので何かあったらナースコールをしてください」


そう言って医者は出ていった


病室には俺達だけになった


沈黙の中で無機質な機械音だけが響く


ベッドに横たわる翔ちゃんを見つめる俺達


翔ちゃん…


手を擦ってみた


こんなに翔ちゃん痩せてたっけ…


どんだけ苦しんでたんだよ


どんだけ悩んでたんだよ


なんで話してくれなかったんだよ


翔ちゃん なんとか言えよ!


涙が翔ちゃんの手にいくつも落ちていった

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