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Face or Body

第14章 ある医師の悲劇

『先生の整形技術は業界屈指だそうですね』

そう切り出した
時任は
鎌田に隣室に案内し
とある人物の
撲殺死体を見せた。
死体は…
港竜組若頭のマサのものだった。

数日前に
ヒットマンが仕留めたものだった。

『この顔と同じ顔…… 作れちゃいますよね…。』
時任はいつものにこやかな顔で
鎌田に尋ねた。
しかし有無を言わせぬ迫力を込めて…


時任は
この死体と同じ顔にした男を
港竜会に潜り込ませ
マサの生存を証明し
自主したヒロキの無実を証明しようとした。
もちろん
ヒットマンによるマサ殺害も
闇に葬らされる。

そして
マサとして港竜会に潜り込ませた男に
マッハの密売を警察にリークさせ
港竜会へ大打撃を与える計画を
たてようとしていた。


『あの…』と
鎌田は時任に問う。
『仮に顔を変えても、身長… それにこの亡くなっているかたの記憶とかは…』

『大丈夫だ。手を打っている。 それより先生… この世界では俺をオヤジって言ってくれよ。』

時任は
鎌田にそう囁いた。

この日以来
海浜整形クリニックから
鎌田俊男の姿が跡形もなく消えた。

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