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Face or Body

第22章 覚悟…

川崎市公園内薬物中毒死事件の
第1回捜査会議の前
県警本部機動捜査係の部屋に
ヒカルは勝負服を着て
周囲からの視線を受けながらいた。

海浜市内で発生した
マッハ密売ルートの摘発と
それにまつわる殺人事件…
さらには
改造拳銃による工員狙撃事件…

この2つの事件解決の功績により
27歳という異例の早さで
県警本部への異動が行われたのだった。

『今日から本格的にお世話になります!!
海浜署から赴任いたしました、巡査部長、
巻町光【マキマチ ヒカル】です。』
ヒカルは
初めてちゃんと巻町の姓で
自己紹介をした。

『よろしくな!!』
そう声を最初にかけてくれたのは
各務豊【カガミ ユタカ】という
40代の刑事だった…。
各務は
この機動捜査係のトップである。

『あなたが、噂の… …あ!!実は俺… 昔ライバルだったんだよ…』
と各務。

『… … …。』
誰と?
とヒカルが各務を見つめていると

『タダオキだよ。タダオキ!! 東三条忠興』
各務の口から
ヒカルはデーブの名前を聞くとは
想像していなかったぶん驚いた…。

『あいつが海浜署に赴任したとき、俺とアイツはいずれ次のステップで、どこかの署長だな…ってさ…。上へ上へってばかり考えてたよ。』
と懐かしそうな目で話した。

『聞いてるか?タダオキがなんで現場にこだわっていたか?』
各務の問いかけに
ヒカルは
『詳しくは… ただ目の前の命を救えたのに救えなかった後悔があると… そんな話を私は何度か伺いました。』
と答えた。

『実は俺もあの現場にいた…。 そしてタダオキと一緒だ… 一瞬、おれも保身のために犯人を撃てなかった…。』
続けて
『それからタダオキと俺は、キャリアエリートの道を捨てたよ…。お互いに自分の信じる正義で動こうとね。』

各務もデーブと同じく
現場の道を歩んだ。
しかも各務はデーブより過酷な
道を選択していた。

機動捜査係…
その部署は時に禁じられている
潜入捜査をも手段とする
超法規的な捜査を展開する部署だった。

各務は
ここで10数年…
指揮を執り続けていた猛者だった。

―――デーブさんの引き合わせ?

ヒカルはふと
今でもデーブがヒカルが活躍しやすい
舞台を作ろうとして
見えないチカラを
天国から発揮してくれているように
そう思えた。

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