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Face or Body

第25章 展開

『待ちなさい!!清野奈々。香月博!!』

ヒカルの呼びかけに
一瞬ふたりは
ビクッと身体を硬直させたような
そぶりを見せたが
ヒカルを振り返らずに
再び歩き始めた。

ヒカルは二人の前に走りだし
もう一度

『もう終わりにしよっ!!』
『清野奈々さん…あなたには殺人教唆』
『香月博さん…あなたには殺人』
『それぞれの容疑がかかっています。おとなしくしたがってください…。』

ヒカルはふたりを
交互にみつめて語りかけた…。

男がヒカルに語りかける
『私は、香月ではありません…。麻宮勇一【アサミヤ ユウイチ】と言います。』
『私は妻の真未【マミ】です…。』
と女もそう言いきる…。

と、そのとき
駐車スペースから
カオルが
『ヒカル!!こっちの男を確保したよ!!』と
声が聞こえた。

『戸籍の偽造も含めて、お話もうかがいたいです。同行願います。』
ヒカルは男女を説得する。


長い沈黙が流れる…


『あああ… 王子さまに出会えたと思ったのに…』
女は男を見つめて
瞳から涙を溢れさせた…

『な、何をいってるの? まだ大丈夫だよ!! きっとうまくいくよ!!』
男は慌てて
女に言い返す…。

『任意ですが…』
とヒカルは前置きしたあと
二人に語りかけた。

『清野拓人という男から妻としての尊厳をズダズタにされ、広田洋一から母として女としての尊厳を粉々にされた屈辱…。同じ女として怒りを感じます。悲しみを感じます…。でも、赤ちゃんのためにもすべての罪を清算してください。 あらためて警察への同行をお願いします』

ヒカルは奈々であろう女に
言葉をかけた。

ヒロシであろう男には
『大切な人だったんだね奈々さんが…。自分の人生を犠牲にして…いえ…捨ててまで助けてあげたかったんだね… …うまく言えませんが、それでも他人の命を奪った時点で、あなたの次の人生は終わってました。長い時間が必要ですが…。奈々さん、待っていてあげれますか?』
とヒカルは語りかけながら
奈々であろう女に語りかけた。

奈々は
地面にへたりこみながら
コクリと頷いた。

遠くから
何台ものパトカーのサイレンが近づいてきた
………。

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