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湘南海岸が一望できる丘の上に
カオルが日記にはさんだままだった
モメに書かれていた
【レストラン　バン】があった。

バンとは
フランス語で風という意味がある。

ヒカルとサヤカは
このレストランで
数日前の夜に
窓際の席で食事をとる
歳の少し離れた男女のカップルがいたことを
突き止めた。

年上の30代であろう女に
甘えるようなしぐさで
くつろぐ美形の20代前半の男性…
この様子は
明らかに目立ち
店の接客係の女性たちはよく覚えていた。

カオルとヒカルの写真を見せると

『はい!!この2人です。』と
女性たちはしっかりと
覚えていた。

さらに
『明日は、ずっと一緒だね…。僕のスタジオに行こうよ…。すぐそこなんだよ。』
と男性が
女に囁いていたのを
食後のデザートをだしにきた
接客係が教えてくれた…。

『ありがとう!!また、なんかあったら…連絡ください。』
ヒカルとサヤカは
接客係のなかで
いちばんしっかりしてそうな女性に
ケータイ番号を教えた。

すると
『あの…　この男性は何かしたんですか？
……最近、毎回ちがう女性をつれて、ここに来るんです。　……あの…　実は今夜も予約されていて…』
と接客係は答えた。

―――もしかして今夜また
新しい被害者が出る？

ヒカルはサヤカと厳しい目で
アイコンタクトをとった。