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Face or Body

第43章 事件の顛末

『あ…!! よかった~ 案外元気そうじゃん。』
警察病院に入院中のヒカルを
サヤカが娘のヒナを連れて
見舞いにやって来た。

『サヤカさ~ん♪ あ!!ヒナちゃんまで…』
とヒカルは
見舞いに来てくれたふたりに
笑顔で感謝の気持ちを伝えた。

サヤカの娘ヒナは
サヤカとは正反対のハニカミ屋さんで
サヤカに隠れて
照れくさそうなそぶりを見せた。

サヤカは事件解決後の
潜入捜査あけの休暇中なのだが
あの獣姦のトラウマが
彼女のなかには
植え付けられてしまっていることを
ヒカルは
昨日見舞いにきた
各務から聞いていた…

おそらく各務から
ヒカルがそのことを
伝え聞いているとサヤカは察して
あえて娘のヒナとともに
サヤカは見舞いに来てくれたかもしれない…

ヒカルはそう感じた…。

娘の前なら獣姦寸前の状況を
ヒカルに触れられなくてすむと
サヤカは無意識に思い
娘連れで見舞いに来たように思えた…。

しばらく他愛ない会話が
ヒカルとサヤカの間を往復し…。

ふと
サヤカが口を開いた。

『結局は、あの通称【オヤジ】…山縣なる男の強大な権力とチカラの前には、港竜会もなすすべがなかったんだよね…。』

ヒカルは
『まっすぐな正義だけでは、追い込めなかった巨悪を潰すには、汚れたチカラ… 清濁あわせ持つ力が必要なのかな…』
と呟いたが…

では
なんのための潜入捜査?
なんのために
身体を危険にさらすの?

ルミが輪姦されてまで任務を遂行し
精神のバランスを崩した…

モモが女性のシンボルである
両乳首を切断された恐怖をあじわった…

サクラコが黒人たちに
玩具にされながらアジトに侵入し
奴隷を救出し
拳銃でうたれた…


『………それでも…』

『私たちは、それでも潜入捜査官として…
私たちなりのまっすぐな正義を貫かないと
………。 彼女たちにすまないよ…。 それが私たちのプライドだもん』

同じような内容の
言葉がヒカルとサヤカは
口からこぼれた…。

傷だらけのふたりの
まっすぐな正義はまだ
前を向いている…。

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