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Face or Body

第54章 絶望…

―――
死にたい…
死にたい…
私は死んでやる!!

ヒカルは妊娠を通告されて以降

死ぬことしか
考えない時間を重ねていった。

しかし
ヒカルはつねに監視され
自殺さえ実行できない環境下に置かれていた
舌を噛みきらないように
口には器具が装着されていた…。

―――………
ヒカルが拉致監禁されていく中
季節はいつしか
紅葉の時をすぎて
冬へと移ろっていった…。

その頃になると
微妙にヒカルの身体には妊婦特有の
変化まで生じはじめていた。

そう…
ケダモノたちの子供を身籠ったヒカルは
すでに人工中絶さえ許されない時期に
入ってしまっていた。

検診は定期的に実施され
エコー写真には
ヒカルの体内で順調に発育していく
小さな命が鼓動を刻む姿が
記録されていた。

そのエコー写真を眺めるたび
ヒカルの瞳からは
光が失われていった…。

悪魔が私の中にいる!!
受け止めきれない現実に
ヒカルの崩壊への加速度は
どんどんと上がっていった。

――――その頃!!

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