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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


「ご飯だよ〜」


とお盆を持って部屋に入ってきたのはもちろん茜さん


「わ!? もうこんな時間だ」
「あれ、ノラがテレビ見てるなんて珍しいね」
「なんかドラマの再放送見ちゃった」
「へぇ」


どんなドラマー? なんて質問に答えて、何となく気になったことを今身近にいる唯一の女性である茜さんに聞いてみた


「ねー茜さん」
「なぁに?」
「女の人ってさ、意地悪されたりとか命令口調で話されたりとかしたらムカつかないの? 好きになっちゃったりすんの?」


俺の質問に茜さんは「んー……」と顎に手を当てて考えている


「私としては、そういう人にギャップ萌えするかなぁ?」


キャップ燃え?


「ダイオキシンが出るよ。癌になっちゃう」
「え?」


え、違うの?


「キャップ?」
「んん? キャップ? あははっ違う違う。ギャップ!普段と違う姿にキュンとするよねってやつ」


普段と違う姿……


「俺様だったり意地悪したりする人が、弱って頼ってきたり優しくしてくれたりしたらきゅんとしない?」
「!」


まるで俺の心を見透かしたかのような言葉
いやでもきゅん、なんて可愛い音しなかった気がするんだけど
もっと痛かった

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