
泣かぬ鼠が身を焦がす
第8章 網の目にさえ
もー、さっきからなんなの?
と文句を言おうとして振り返ろうとした
それより早く
「!?」
俺のうなじに柔らかいものが触れた
う……!?
キス、された!?
背骨の中を電気が走ったみたいに全身に痺れが伝播する
「な、な……なに……!?」
「……」
固まってしまって振り返れなくなった俺に、杉田さんからの返事はない
静かな浴室にちゅ、ちゅ、と何度もうなじに口付けるリップ音が響く
「なに、ちょっと……やめ、」
首を竦めて逃げようとするけど、後ろから髪を持ってるのともう片方の手が肩に回ってきていて動けない
や、ほんとなに
擽ったいし
なにより恥ずかしいんだけど!!!!
「うぅーー……」
唸るように耐えていると、今度は首筋を舌で舐められる
「ひ、ぅん……ぁ、あ」
やば
なにこれ
こんな、なんか
わかんないけど
勃ちそう
キスされて、舐められて、不規則に吸われる
この繰り返しで本当に腰が重くなってきてて、とにかく下半身への意識を逸らさなければと必死になる
「ん、んん……ぅ……!!」
けど、その努力を無駄にするかのように肩に回っていた手がゆっくりと下に降りてきた
