テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第12章 盲目


伊藤さんは俺に予定を伝えるなりそそくさと部屋から出て行って、部屋には俺1人になる

美味しい茜さんの料理を食べて


課題渡されねーし
暇だな


とベッドに寝転がった

そして数時間


テレビドラマを見たり
ワイドショー見たり
ニュース見たりしたけど、本当暇


「やることねーーー!」


ベッドの上でゴロゴロ

すると突然、部屋の扉が開いた


昼にはまだちょっと早い時間だし、杉田さんは今日忙しいって言ってたけど

誰だ?


そう思って振り返ると、そこにいたのは


「藤本…………なんで…………」
「やぁ? ノラ」


にこやかな笑みを浮かべる俺の元飼い主だった


「また会ったね」
「会ったね、つかお前が会いに来たんだろ」
「うん、そうだよ? わざわざ迎えに来てあげたんだよ」


扉のところに立っていた藤本は、歩いてこちらに近づいてくる


「困っちゃうよね。人の物奪ってこんなところに隠しちゃうなんてさ」
「……別に、隠されてねぇよ」
「社長室の隣にこんな部屋作ってるなんて、十分隠してると思うけど」
「……っ」


なんでこんな部屋があるのかも知らない俺には、何も言い返せない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ