
泣かぬ鼠が身を焦がす
第15章 鼠の志
「え、それって……」
「見たことないのか?」
いやいや、オナホ急に出された時も思ったけど
見たことないわけじゃねーんだよ
拓真さんが持っていたのは、ピザデリバリーのチラシ
「なんでこんなのあるの?」
「定期的に届くだろう」
「頼むから取っておいたの?」
「それ以外にとっておく理由ないだろうが」
うーん
なんか会話が噛みあわねーな
「俺は拓真さんがこういうジャンクフード頼むのが意外って言ってるんだよ」
俺がハッキリ言うと漸く理解してくれたらしく、「あぁ」と感嘆の声を漏らした
「俺だってたまには食べたくなるんだよ」
「へぇ……俺は食べたことないけどね」
「そうなのか?」
俺がいつ食べるっていうんだよ
こんなこと言うのはなんだけど、今までヒモだったんだぞ
「どれか食いたいのあるか?」
「えっ、なんだろ……全然わかんない」
「ゆっくりでいいから」
そう言われてうんうん言いながら選んで、俺は人生初めての宅配ピザを頼んだ
そして届いたピザを談笑しながら食う
こんな美味いんだ
すげー
しかも30分とかで届くんだ
そひゃ引きこもりも世に蔓延るよなぁ
