
泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
あれほどまでに美しい容姿を持ちながら、これまで身体を売って生きてきたというノラ様
それを知って、あの身体を自分でも味わいたいと思ってしまうことは仕方がないことなのでは無いでしょうか
……いえ、言い訳ですね
結果的に私は浅はかな考えでノラ様を抱き、社長からの信頼すら失ってしまいました
自業自得
辞職しか道はない
そのように考えていました
しかし、これまでの頑張りを認めた下さった社長のご慈悲により、私はなんとかこれまでと同じように仕事をさせて頂くことができるようになったのです
そして今
ノラ様への思いを断ち切り仕事に専念すると心に決め、私は毎日一生懸命仕事に打ち込んでおります
「伊藤さん、アールワイシー株式会社の三村様からお電話です」
「ありがとうございます」
同じ秘書室の人から引き継いだ電話に出ると、名前を聞いた時点でわかっていたのですが知らない男性の声がしました
「お忙しいところ失礼いたします。私アールワイシー株式会社の三村と申します」
「お世話になっております」
アールワイシー株式会社というのは、弊社と最も関わりの深い会社の1つです
「次のプロジェクトの件で社長にご確認いただきたいものがございまして、お時間頂けないでしようか?」
