
泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
それから荷物を取ってくるから、と仰った三村様が戻ってくるのを待ち、三村様行きつけのお店に入りました
「ここのこれが美味いんだ」
「そうですか。ではそれで」
「酒はこれが合うんだけどこれでいい?」
「えぇ。三村様のお勧めで構いません」
楽しそうにお食事とそれに合うお酒を選んでいただくと、食事前にお手洗いに行かせて頂きました
戻ると既に食事が届いており、一言謝罪を申し上げて着席
「じゃ、新しいプロジェクトの成功を祈って、乾杯!」
「乾杯」
常ににこやかで、プライベートでも感じの良い方ですね
お店の雰囲気もお食事の味もいいですし、本当によく出来た方だ
プロジェクトの成功は間違いありませんね
三村様に吊られて私も気分が良くなり、箸もお酒も進みます
ですが、ゆっくりと食事を楽しめていたのは最初の数十分だけでした
食事を粗方食べ終わった頃、私の身体に異変が
「……っ」
この程度の量で酔ってしまったんでしょうか
頭がぼーっとします
それに、身体が熱い
「大丈夫ですか?」
三村様が私を気遣って下さいました
いけない
取引先の方の前で失礼を働いては、社長にご迷惑が
「だい、丈夫……です」
