
泣かぬ鼠が身を焦がす
第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)
部屋を出てみると、短い廊下の先にすぐ玄関があります
そこにあった私の革靴を急いで履いて、建物からも出ました
私は出てみて漸く、そこがラブホテルであったことに気がつきました
こんなところ……初めて入りました
今後も入る事はないと思っていたのですが
まさかこんなタイミングで入る事なるなんて
私は場所と時間を携帯電話で確認してからタクシーで家に帰りました
何も考えずに眠って、次の日の朝
昨日のこと……夢、じゃなかったんですよね
心なしか腰も痛い気がします
それに、喉も
しかしぼーっとしている時間はありません
私は今日も仕事があります
「……」
お休みするわけには、いきません
よね……
私は自分で自分の頬を叩いて意識をはっきりさせ、景気付けに勢いよく立ち上がりました
出社し秘書室に入ると、同じ秘書室に勤務しているうちの1人が私のところへやってきました
「伊藤さん、おはようございます」
「おはようございます」
「先ほどアールワイシーさんからお電話があり、伝言お預かりしました」
「……ありがとうございます」
会社の名前に、嫌な予感がします
