
泣かぬ鼠が身を焦がす
第22章 一に看病、二も看病
あ、出汁がきいてて
「美味しい」
「そうか。食えそうか?」
「うん。もう一口」
「あぁ」
俺が更にお粥を要求すると、食欲があることへの安堵か拓真さんがほっとした顔でまたお粥を掬った
何口か食べて、ちょっと気持ち悪くなったところで
「もういらない」
と告げる
「そうか」とお粥を下げた拓真さんが、なんかいつもと違って俺の言うこと聞いてるみたいで面白い
なんて、心配してもらってるのに不謹慎かな
でもその看病のおかげでお腹の中からじんわり身体が温まった
「ほら、薬」
「んー……」
「口開けろ。苦くないから」
拓真さんの苦くない、という説得に応じて口を開けると錠剤が2つ口の中い入れられる
確かに苦くはない
そしてストローで水を飲まされて薬を飲み込んだ
「ぷは」
「喉は渇いてないか?」
「うん。大丈夫」
「そうか」
俺の返事に納得した拓真さんはベッドの近くに置かれた小さなテーブルに残りの水を置くと立ち上がった
「俺は仕事に行ってくる。携帯をここに置いていくから何かあったら連絡しろ。今日は会社にいる予定だからすぐに来る。来れなくても茜か静を来させるから」
「わかった」
