
泣かぬ鼠が身を焦がす
第22章 一に看病、二も看病
目が覚めたのは、また扉が開く音
さっきよりはぐっすり寝れたかな、なんて考えつつ薄く目を開く
あぁ、やっぱり
身体楽になったな
目を動かしてみると部屋の遠くの方で拓真さんがスーツのジャケットを脱いでいる
結構楽になったし起きれるかな、と動いてみるとお昼より断然楽に身体を起こせた
「拓真さん、おかえり」
俺が声を掛けると、少し驚いた様な顔をした拓真さんが振り返る
「ただいま。起きて大丈夫か?」
「うん。大分楽になった」
これなら明日ぐらいには熱下がるかも
俺が笑うと拓真さんが近寄ってきて俺の額に手を当てた
「ん。良さそうだな」
「朝は拓真さんの手熱く感じたもん」
「もう飯は食えそうか? 昼も少しは食べたみたいだな」
「うん。伊藤さんに全部やって貰って、すげー申し訳なかったよ」
拓真さんがシュル、とネクタイを引き抜く姿にちょっとドキッとする
「全部?」
「そう。拓真さんが朝してくれたみたいにご飯も食べさせてくれたし薬も飲ませてくれた」
「……」
「拓真さん?」
聞いてんのかよ、こら
って……え、なに
なんで若干不機嫌になってるの
俺なんかした?
