
泣かぬ鼠が身を焦がす
第27章 苦あれば
自分のためだけじゃなくて、もう1つ脱出しなきゃいけない理由が出来たな
俺はロープの端を窓の外に投げた
地面まではちょっと足りないけど、余裕で飛べる高さにまでは下りれる
「行けそう、ですか……?」
「うん……まぁ、大丈夫なんじゃない……かな」
俺基本引きこもりだし、運動なんてセックスぐらいしかしないからギリギリだと思うけど
まぁ、死にはしないだろ
俺はもう1度お手伝いさんに御礼を言って、ロープに手を掛けた
ぎし、とロープと家具の軋んだ音がした
だ、大丈夫大丈夫
飛び降りるより怖くない
俺は遂に自分の身体を窓の外へと出した
手痛……
でも、意外といけそう……
ゆっくり下りて行くと、すぐにロープの端に着いた
そこから壁を蹴るように下に跳び
「よっ…………と」
無事に着地した
やった!!!!!
上を見たら、お手伝いさんが音のならない拍手をしている
俺も喜びを分かち合えるように手振りで応えた
そして塀をよじ登って越えて道に降りる
遂に出れた
やった……
自分で自分の頑張りを褒めてやりたいぐらい感動してる
いや、出れたのは俺の力だけじゃないんだけどさ
