
泣かぬ鼠が身を焦がす
第28章 画竜点睛
俺は自分のあらゆる力を使って復讐してやる、と心に誓った
純の代わり、なんて大層なことを言う気はない
俺が俺のためにやるんだ
それがいずれ俺に返ってきたとしても構わない
純を
世界で1番大切な人を守れるなら俺はなんだってする
俺は改めて純を見た
けど今はとりあえず俺の腕の中に純がいることを喜んでいよう
色々と考えるのはそれからでいい
……この呑気な考え方は純のが伝染ったのかもしれないな
俺は声を出さずに口元だけで笑った
側にいると似るというのは本当なのかもしれない
いや待てよ……俺の性格のどこかが純に伝染るのは……困るな
寝ずにそんな思考に耽っていると、純がまた身じろぎした
「たくま、さ……?」
今度は本当に起こしてしまったらしい
「悪い。起こしたな」
「ん……べつに……」
まともに目の開いていない純が俺を手探りで引き寄せる
「……さむい……」
それは俺には抱き締めてくれ、と強請っているようにしか見えないが
「そうだな」
余計なことは言わずに純を抱き締めた
すると純は満足そうに鼻を鳴らしてまた寝息を立て始める
幸せだ
今はそれだけでいい
