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偽りの向こう側

第14章 ライン四日目~昼~

「綺麗にお手入れされてますね」

美容室を訪れたのは一年振りだった。

夫である直樹が亡くなり
家に引きこもりがちだったが
直樹が好きだった長い黒髪の手入れだけは
怠らずにいた。

だけど……もう直樹は居ない。

それを私に気付かせてくれたのは嵐と瑛士。

「ショートにしてください。カラーも明るめで」
「えぇ?本当にいいんですか?」

サヨナラする決意をした。

直樹が愛した私と。

これからの人生を踏み出す為に。

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