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――３時間前――




一度は通り過ぎようと足を進めたユーキだったが


「・・・・チッ・・あ～、もう」


足を止め、その女の方へ近づく



「あの・・大丈夫ですか？」


女の背中越しに、自分の傘を差し掛け、やんわりと声をかけてみる


「・・・・」

「・・そんなとこにずっといると、間違いなく風邪ひくと思うけど」


それまで微動だにしなかった女の身体が、ビクッと揺れ

ゆっくりと、ユーキの方へ身体を向ける


「・・・・っ」



正面から見た女の顔に、ユーキはハッと息をのんだ



その女は、女性というよりは少女に近い‥幼さの残る顔立ちだったが

大きな瞳に形の良い唇

真っ白で透きとおるような肌は、整った顔立ちを一層美しく魅せた


「・・・・・」


言葉を失ったまま、見つめ合う形で向かい合った２人の沈黙を破ったのは、その少女の方だった



「・・・・あの・・」


初めて聞く少女の声は、心地よい鈴の音のような、キレイな音だ


「あの・・ここは・・・・『どこ』ですか？」



「・・・・・は？」


その顔に、声に魅せられていたユーキは、少女の言葉を理解するまでに間があった