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マーメイドな時間

第17章 山本茂晴美の代わりに……

 だめだ、くだらないこと考えてたら、それしか頭にない。


 今の僕には、かけ算の九九さえも思い出せない。


 こんな状態で、よくセンター試験受ける気になったな……。


「あら、香奈夫くん?」


 誰だろう?


 学校の女子ではないことはわかる。


 なぜなら、存在感皆無の僕に、声をかけるような女子はいないからだ。


 それどころか、下の名前を知っている者なんて、絶対にいない。


 誰だ?






『ペタン……ペタン……』


 え……。


 聞き覚えのあるペタペタ音。


 こんなペタペタさせるのは、ペンギンさんか、あの人しかいない。


「先生っ!?」


 下を見た。


 ホタテの胸当て。



 でも、なんか違う。


 知っているようで知らない。


 腰から下は魚類には間違いない。


 ただ……乃木坂の生駒ちゃんみたいな感じの娘が、肘を立ててアゴをのせて、こちらを見上げてる。



 誰?


「はじめまして、私、茂晴美の姉の山本茂晴美子と言います」


 無駄に名前長い!!


 必要ない一文字がプラスされてっし!!


 名字の「山本」は本当にいらないでしょ。


 茂晴美子、これだけでフルネーム成立してるし。


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