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マーメイドな時間

第23章 縁日に……

 それにね、もうペットはいりません。


 水が汚れて苦しいのか、次々に人魚は口を開けて浮いてくる。


 早くなんとかしないと、全部死んじゃうわよ。



 息子は涙ながら、子供用のバケツに網を使って、まだ生きている人魚を移した。


 あれだけいた人魚が、ほんの数分で7匹に。


「それ、もう飼えないから、近くの川に逃がしてあげなさい」


「いやだ、飼うもん」


「お母さん、水槽も餌も買わないわよ。あなたが、お小遣いで買いなさい」


「えええーーっ、いやだ」


「じゃあ、知りません。あなたが、ちゃんと世話しないと死んじゃうわよ。ほら、亀もザリガニも、水が汚れて大変」


 息子は、しぶしぶ、泣きながら掃除をはじめた。亀もザリガニも水が汚れてしまって姿が見えない。人魚の残骸を網ですくって、ビニール袋に入れ、しっかりと縛ってゴミ箱へ。


 亀とザリガニは外に出して、汚水を外の排水溝に流した。


 人魚は飼えないって現状を理解したのか、息子は生き残った人魚を近所の川に流した。


 本当は、飼ってる生き物を捨てるのは違法なことだけど、仕方ないわ。




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