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マーメイドな時間

第25章 野田目幹太と寿司屋の親方

 俺の名は……やった、サブタイトルに名前が出た。


 前回のあらすじは、前回を読んでくれ。


 寿司屋の生け簀に泳ぐ人魚が、俺に助けを求めている。


 だが、ここの寿司屋は人魚の寿司も提供している。


 あれは食材であり、売り物なのだ。


「あの……そこの生け簀の人魚っていくらします?」


 寿司屋の親方は、にこやかに人魚を示す。


「このままで値段は出せないな」


「どうして? 仕入れたんじゃないの?」


 親方の目付きが変わった。


「これは仕入れはタダなんだ……人魚寿司、美味しいでしょ」 


「以前いただきましたよ。美味しかった。だから、また食べにきたんだ」


「人魚がこの地に上がり続けるかぎり、私は握りますよ」


「あの人魚も……」


「もちろん」


「あの人魚を譲ってもらえることはできないですか?」


 俺は頼んでみた。


 だが、親方は首を横に振った。


「生きたまま渡すことはできない」


 どういうことだ?


「この人魚は……陸を攻めてきてんだよ」




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