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マーメイドな時間

第5章 参院選出馬に……

 こともあろうに、名札のピンを刺すなんて……あの子はプロだ。


 そうなると、オンエアにのるじゃないか……。


 私は後ろを見た。


 どこかに、ドッキリのプラカードをもった番組のADがいるかもしれない。


 頼む、いるなら早く出てきてくれ。オンエアされれば、私はアイドルを注意して傷付けた一般人として、後ろ指をさされるどころか、ファンからボコボコにされ、ツイッターでむちゃくちゃ書かれてしまう。


 出来たらモザイクでも……。


 じゃ、あのプレゼンは?


 どこからドッキリになるの?


 あれ? わからない。


 誰か、教えてくれ……。





 そうこう思っている間に、演説は終わった。


 巨大な水槽の中で優雅に泳ぐ、うなばら真魚。


 ありゃ、ドッキリ関係ないな。


 そのまま、選挙カーに引っ張られていった。


 私は……目が合った。


 彼女は私に手を振った。


 私も……手を振った。


 どうなっているのだ?



 これ以上、考えるのはよそう。


 疲れる。







 ――1週間後。



「うなばら真魚、当選」



 嘘だろ……。





 さぁ、次の話にまいりましょう。

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