けだもの系王子
第6章 要、優等生系?
透き通った白い肌、癖毛の軟らかい髪、大きめな瞳が印象的な綺麗な顔立ち。
1つ年下のいとこ。
高校生活でどんどん身長が伸びて今ではすっかり見上げるくらいの逞しさ。
「どうして、ここにっ?」
声を振り絞る。
内緒にしていた。
家族にも聖ちゃんと離れたいと、説明したのに。
どうして?
天使のような満面の笑顔。
「すぐに鍵を開けちゃだめでしょ?
女の子の一人暮らしなら、もう少し警戒しなくちゃね?」
きらきらと輝く瞳。
ドアの内側に入って来ようとする。
広い胸を押し返す。
「どうして、分かったのっ?」
悔しくて唇を噛み締める。
「なんか最近こそこそしてるなぁとは思ってたけどね、僕がバイトに行ってる時に引っ越しの車が来てたみたいだし、やるなあとは思ったけど、やっぱり早希ちゃんは少し抜けてるとこがあるよね?
これは何だと思う?」
ニヤリと笑いながら、手に持ってる紙切れ……。
それを見て息を呑んでしまう。
引っ越しの伝票……。
あたしの名前と住所が書いてある。
「そんなのっ、プライバシーよっ」
言いながら伝票を取り上げようと手を伸ばして、するりと避けられる。
「玄関のげた箱の上に置きっぱなしで見えてしまっただけだからね?
そういうとこ可愛い……」
伸ばした腕を掴まれて引っ張られる。
急に近くなる距離、そのままキスをされて慌てて突き飛ばす。
「もう帰ってっ、こんなのもうダメっ……!
あたしっ、好きな人がいるんだからっ!」
「知ってるよ?
でも、許さないって言ったよね?
それに早希ちゃんの体は……もう僕から離れられない筈だよ?
今だって少しキスをしただけなのに、感じてるんでしょ?」
聖ちゃんの瞳が艶やかに光る。
「そんな事ないっ、もう帰ってっ、不法侵入で警察を呼ぶからねっ?」
背中を向けて家の中に逃げようとする。
バタン。
玄関のドアが締まり、後ろから抱きしめられる。
「家族なのに?」