私の心の1番綺麗なところに
第14章 サヨナラの秋
あなたの好きな色を、私は知らない。
あなたの好きな場所も、女の子のタイプも。
なにも知らない。
けれど好きだった。
ただただ、好きだった。
いまでも、ふと
あなたの声を思い出すときは
左後ろを見るの。
あなたと初めて会ったときの
「左!」という声。
振り向けばいるかも、なんて。
笑顔で私に手を振るあなたが
いるかも、なんて。
ああ、神様。
こんなにも想っているんです。
こんなにも逢いたいんです。
逢わせてくれませんか…、
夢でも幻でも、いいから。
振り返っても誰もいない。
隆太はいない。