
私の心の1番綺麗なところに
第25章 ひとり
約束の日の夜。
部屋でテレビを観ていると
優貴から下に着いたとメールが来た。
別れて以来の優貴。
少し緊張する。
エントランスを出ると
傍の自販機の横に優貴が立っていた。
「よ。」
「久しぶり。急に鍵返してなんて
メール送ってごめん。」
「ううん、俺もいつ返そうかなと
思ってたから。」
優貴の手から私の手へ
鍵が渡された。
これで終わり。
あとは、じゃあバイバイと言えば
私は部屋へ戻り
優貴も帰る。
なのに何の情なのか、
当たり障りのない話をし、
私は早く切り上げたいのに、
優貴がなかなか、帰ると言い出さない。
まだ何か話すにしても
暑いし、蚊にかまれるのも嫌だし。
いや、こう言えば終わると思って。
優貴に聞いた。
「まだ話すならちょっと私の部屋にあがる?」
と。
