私の心の1番綺麗なところに
第28章 秘欲
隆太。
服の整理をしていたら
ひとつの冬服が出てきました。
高校3年生の時、
初めてのライブの次の日に
東京で買った服。
隆太に初めて会った時に
着ていた服でした。
2回目、3回目に会った時の服は
もう、随分前に捨てたのだけど、
この服だけは、
服の整理をするたびに
迷うのだけれど、
捨てられない。
今も、ふと懐かしく感じて
服を広げてみた。
色々なことを、思い出した。
東京で選んだこと。
その時は、まさか隆太に
抱かれる日がくるなんて
抱かれる時に着るなんて
まったく知らなかった。
緊張しながら乗った電車。
初めての駅。
ホテルで隆太に脱がされたとき。
ホテルを出るときに
着せてもらったとき。
…
捨ててしまえたら、と
何度も思う。
潔く、捨てられたら。
だけど、だけど
捨てたらきっと後悔する。
それも自分自身がわかってて。
もう着ないといえど、
思い出として
残しておきたい。
隆太は、きっと
私がどんな服で
あなたに会っていたか
覚えていないだろうけれど…
それでも、この服は
たしかに隆太に触れられたものだから…
いつまで捨てられないのだろうか…